本文
水道水の水質基準は、水道法第4条に基づく「水質基準に関する省令」(平成15年厚生労働省令第101号)により規定されており、井戸水や小規模水道などの飲料水もその基準に適合することが必要となります。
平成26年度から、毒性や水道水中の検出状況を考慮して、「水質基準に関する省令」に定める水質基準項目に亜硝酸態窒素が追加されることになりました。基準値は「0.04mg/L以下」であり、平成26年4月から施行されています。
当所で行っている試験は、法律改正に伴い、
亜硝酸態窒素は、窒素肥料、腐敗した動植物、家庭排水、下水等に由来します。これらに含まれる窒素化合物が、水や土壌中で化学的・微生物的に酸化及び還元を受けて生成します。
「亜硝酸態窒素」については、これまでも硝酸態窒素との合計量で10mg/L以下の基準が定められていましたが、今回の改正では、食品安全委員会の食品健康影響評価結果(2013年7月)から、亜硝酸態窒素のみの基準値が別に定められることとなりました。基準値は「0.04mg/L以下」です。
硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 基準値:10mg/L以下(合計量)
↓
硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素 基準値:10mg/L以下(合計量)
亜硝酸態窒素 基準値:0.04mg/L以下
水中に含まれる硝酸イオン中の窒素と亜硝酸イオン中の窒素の合計量であり、窒素肥料、腐敗した動植物、家庭排水、下水等に由来します。これらに含まれる窒素化合物は、水や土壌中で化学的・微生物的に酸化及び還元を受け、アンモニア性窒素、硝酸性窒素、亜硝酸性窒素等になります。
水質基準として設定する際の各物質の評価として、硝酸性窒素については、乳幼児のメトヘモグロビン血症を防ぐ観点から10mg/L以下とされましたが、亜硝酸性窒素については、硝酸性窒素と同時に測定することが可能であることから、硝酸性窒素と亜硝酸性窒素の合計量として「10mg/L以下」の基準値が定められました。
「硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素」についても、引き続き基準項目として継続されています。
硝酸性窒素は、乳児の胃などではその一部が還元されて亜硝酸性窒素となります。亜硝酸性窒素は赤血球のヘモグロビンを酸化して、「メトヘモグロビン」に変化させます。メトヘモグロビンになると、酸素と結合できず、血液中の酸素が少なくなり、酸素欠乏症を起こします。
通常、ヘモグロビンの一部が酸化作用を受けてメトヘモグロビンになっても、その後還元作用を受けてヘモグロビンに戻ります。
しかし、消化管内のpHが一般的に高い乳児等では、亜硝酸性窒素が作られやすく、メトヘモグロビンが多く生成されるため、血液中の酸素が少なくなり、メトヘモグロビン血症を起こす恐れがあります。(参照:環境省ホームページ)