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衛研ニュース/アレルギー物質を含む食品について

ページ番号:0000000207 更新日:2016年12月28日更新 印刷ページ表示

食物アレルギーとは

1.食物アレルギー

 食物アレルギーとは、食物を食べたり、触ったりした際、身体が食物に含まれるたんぱく質等(以下:アレルゲン)を異物として認識し、自分の身体を防御するために過敏な反応を起こすことです。

 自覚症状としては、かゆみ・じん麻疹等の皮膚症状、唇・瞼・のどの腫れ等の粘膜症状、嘔吐・下痢、咳・喘息(ゼイゼイ、ヒュウヒュウ)等の呼吸器症状などがあげられます。ひどい場合には、「呼吸困難」「意識消失」「血圧低下」等、アナフィラキシーという重篤な症状を誘発した後にショック状態となり、死に至ることもあります。

 また、乳幼児については消化力が弱いことと、発達過程の腸管の壁が未消化の物でも通しやすいことによって、こういった症状が大人に比べ発生しやすくなります。年齢とともに腸管は成長し消化能力も高くなるので、こういった症状は発症しにくくなります。

 食物アレルギーは、人によってその原因となるアレルゲンとその反応を引き起こすたんぱく量が異なります。また、同一人物であっても体調により、その反応も変わります。

 なお、食物にもともと含まれる薬理作用を持った化学物質に対する過敏反応(ヒスタミンによるアレルギー様作用やカフェインによる興奮作用など)は、食物アレルギーには含まれません。

2.原因アレルゲンについて

 全公立小中高生を対象としたアレルギー疾患に関する調査研究報告書(2007年4月、文部科学省)によれば、食物アレルギーの児童・生徒は、全体の2.6%となっています。

 アレルギーの原因となった食物は、具体的には図のように鶏卵、乳、小麦が全体の約70%を占め、次いで落花生と続いています。

アレルギー原因食物の割合

*厚生労働科学研究費補助金免疫アレルギー疾患等予防・治療研究事業食物アレルギーの発症・重症化予防に関する研究(平成21年3月、今井考成)より

アレルギーの表示

 食物アレルギーの発症件数は年々増えてきました。症状によっては生命に関わる場合もあるため、食品衛生法が改正され、平成14年4月から容器包装された加工食品には、アレルゲンを表示することになりました。アレルゲンに関する情報を表示することで、アレルギー症状が起きるのを避け、食べても大丈夫な食品を選べるようになります。

 症状の重篤度、症例数から表示する必要性が高いと選択された7品目は食品表示基準において特定原材料として定め、表示を義務付けしました。また、過去に一定の頻度で健康被害が見られた20品目(特定原材料に準ずるもの)は表示を推奨しています。

アレルギー表示対象品目
表示 種類 名称
表示を義務化 特定原材料
(7品目)
卵、乳、小麦、落花生、そば、えび、かに
表示を推奨 特定原材料に
準ずるもの
(20品目)
あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン

*注意喚起表示について
 原材料への使用がなく、製造工程中に特定原材料等の混入が考えられる場合には、製造所でその特定原材料等の取扱いがあることを明示する注意喚起表示がされている食品もあります。

実際の表示例

 アレルゲンを含んだ食品の実際の表示は、次のようになっています。食品表示法施行(平成27年4月1日)に伴い、特定加工食品及びその拡大表記が廃止されました。

【例】原材料に「マヨネーズ」を使用している食品の場合

  • 旧表示
    「マヨネーズ」は特定加工食品であったので特定原材料の「卵」が使用されていても原材料欄に「卵」の表示を省略することが可能でした。
  • 現表示
    原材料として使用されている「マヨネーズ」の直後に特定原材料の「卵」が表示されます。(一括表示の場合もあり)

 原則として、アレルゲンが含有されている原材料の直後にアレルゲンが表示されますが、原材料欄の最後に、使用している全てのアレルゲンを一括表示することも可能です。(重複可)
 また、代替表記等が認められている場合があります。

特定原材料等の表示方法

特定原材料7品目
特定原材料
(食品表示基準で定められた品目)
代替表記 拡大表記(表記例)
表記方法や言葉が違うが、「特定原材料と同一である」ということが理解できる表記 「特定原材料名又は代替表記を含んでいるため、これらを用いた食品である」と理解できる表記例
小麦 小麦の写真 こむぎ、コムギ 小麦粉、こむぎ胚芽
そば そばの写真 ソバ そばがき、そば粉
目玉焼きの写真 玉子、たまご、タマゴ、エッグ、鶏卵、あひる卵、うずら卵 厚焼玉子、ハムエッグ
牛乳の絵 ミルク、バター、バターオイル、チーズ、アイスクリーム アイスミルク、ガーリックバター、プロセスチーズ、乳糖、乳たんぱく、生乳、牛乳、濃縮乳、加糖れん乳、調製粉乳
落花生 落花生の写真 ピーナッツ ピーナッツバター、ピーナッツクリーム
えび えびの写真 海老、エビ えび天ぷら、サクラエビ
かに かにの写真 蟹、カニ 上海がに、マツバガニ、カニシューマイ

*「卵」について
 「卵白」及び「卵黄」については、特定原材料名(卵)を含んでいるが、事故防止の観点から、拡大表記として含む旨の表示を省略することは不可とする。

特定原材料に準ずるもの20品目
通知で定められた品目 代替表記 拡大表記(表記例)
表記方法や言葉が違うが、「特定原材料に準ずるものと同一である」ということが理解できる表記 「特定原材料に準ずるものの名称又は代替表記を含んでいるため、これらを用いた食品である」と理解できる表記例
あわび アワビ 煮あわび
いか イカ いかフライ、イカ墨
いくら イクラ、スジコ、すじこ いくら醤油漬け、塩すじこ
オレンジ   オレンジソース、オレンジジュース
カシューナッツ    
キウイフルーツ キウイ、キーウィー、キウィ、キウィー、キーウィ キウイジャム、キーウイージャム、キウイソース、キーウイーソース
牛肉 牛、ぎゅうにく、牛にく、ビーフ、
ぎゅう肉
牛すじ、ビーフコロッケ、牛脂
くるみ クルミ くるみパン、くるみケーキ
ごま ゴマ、胡麻 ごま油、すりゴマ、ゴマペースト、練りごま、切り胡麻
さけ 鮭、サーモン、シャケ、サケ、しゃけ 鮭フレーク、紅しゃけ、スモークサーモン、焼鮭
さば 鯖、サバ さば節、さば寿司
大豆 だいず、ダイズ 大豆煮、大豆油、大豆たんぱく、脱脂大豆
鶏肉 とりにく、鳥肉、鳥、チキン、とり肉、鶏、とり 焼き鳥、鶏レバー、チキンスープ、ローストチキン、チキンブイヨン、鶏ガラスープ
バナナ ばなな バナナジュース
豚肉 ぶたにく、ぶた肉、ポーク、豚にく、豚 ポークウインナー、豚ミンチ、豚生姜焼
まつたけ 松茸、マツタケ 焼きまつたけ、まつたけ土瓶蒸し
もも モモ、ピーチ、桃 もも果汁、白桃、黄桃、ピーチペースト
やまいも 山芋、山いも、ヤマイモ 千切りやまいも
りんご リンゴ、アップル アップルパイ、焼きりんご、リンゴ酢、
りんご飴
ゼラチン   板ゼラチン、粉ゼラチン

*魚介類(えび、かに等)が使用されている食品の原材料特例表示について
 「魚介類」については、網で無分別に捕獲したものをそのまま原材料として用いるため、どの種類の魚介類が入っているか把握できないという理由から以下の6種類に限り、原材料欄に「例外表示」が認められています。
 原材料欄に「魚介類」と表示がある場合には、「えび」「かに」等の「甲殻類」を含む、魚介類のアレルゲンが混入している可能性があります。特に、「えび」や「かに」にアレルギーのある人は注意が必要です。

例外規定表示
 「たん白加水分解物(魚介類)」、「魚醤(魚介類)」、「魚醤パウダー(魚介類)」、「魚肉すり身(魚介類)」、「魚油(魚介類)」、「魚介エキス(魚介類)」

*「えび」「かに」の注意喚起表示
 「えび」「かに」等の「甲殻類」については、ちくわ・かまぼこ等の魚練製品、いりこ・じゃこ・海苔等の海産物にも、意図せずにえび・かにのアレルゲン蛋白が数μg/g以上検出されることがあります。
 これは、原材料に用いる魚介類によるえび・かにの捕食や魚介類の漁法によりえび・かにが混ざる(混獲)ためです。この場合には、食品加工場での「えび」「かに」使用の有無に関係なく、原材料欄外に注意喚起がされていることもあります。

  • 例1 えび、かにが生息している海域で漁獲しています。
  • 例2 えび、かにが混ざる漁法で漁獲しています。

*可能性表示について
 特定原材料等に関して、「入っているかもしれない。」等の表示は禁止されています。安易に消費者の選択の幅を狭めてしまうことを防止します。

参考

  • 知って役立つ!食品表示
  • アレルギー物質を含む食品の表示(健康福祉局保健部食品指導課、食品保健課)
  • 新しい食品表示制度(平成27年4月1日)(健康福祉局保健部食品保健課)

検査方法について

検査方法の図

スクリーニング検査
ELISA法

ELISA法プレート

PCR法
PCR機械の写真

ウエスタンブロット法
ウエスタンブロット法の画像

 特定原材料7品目については、アレルゲンに特異的に反応するELISA法による検査キットにより、スクリーニング検査を行います。

 ELISA法は、抗原抗体反応を利用して、食品中の特定原材料由来たんぱく質(アレルゲン)を定量する検査方法です。抗原抗体反応とは、体内に異物(抗原)が侵入した際にそれを排除するために働く反応のことで、抗体は抗原に特異的に反応します。特異的な反応でも、抗原の形が似ていると抗体が間違えて違う抗原に反応することがあります。(擬陽性)

 アレルギー食品の検査でもELISA法では擬陽性反応を示すことがあるため、目的のアレルゲンたんぱくであるかどうかを、確認検査で確認します。

 スクリーニング検査で陽性(10μg/g)の場合、「卵、乳ではウエスタンブロット法で確認試験」を行います。これは電気泳動と抗原抗体反応を利用して、特定のたんぱく質が含まれているかを確認する方法です。
「小麦、そば、落花生、えび、かにではPCR法で確認試験」を行います。これは、特定のDNA(遺伝子)が含まれているかをDNAの特定部位を増幅して確認する方法です。

 食物アレルギーを発症するアレルゲンたんぱく量には個人差がありますが、厚生労働省のまとめでは、数μg/g以上では食物アレルギーを発症する可能性があると結論付けられています。

 広島市では、特定原材料の原材料表示が適正か、表示されている食品を対象に、毎年一品目ずつ検査をしています。

平成26~28年度アレルギー食品検査対象品
年度 アレルゲン 対象食品 食品数
28 甲殻類(えび・かに) 加工食品 16
27 そば 加工食品 16
26 落花生 加工食品 16

各種問い合わせ先など

食物アレルギーかな?と思ったら

 自分が本当に食物アレルギーなのか、アレルギーを引き起こす食べ物は何か正確に知ることが重要です。アレルギー専門医のなかでも食物アレルギーの専門医がいる医療機関で診察を受けましょう。
 「経口負荷試験」では、アレルギーの原因となる食物が何か、また、アレルギーがある食物の食べられる量を調べることができます。

加工食品の原材料を知りたいときは

 食品製造会社、販売会社のお客様窓口へ聞いてみましょう。

アレルギー表示についての問い合わせ

  • アレルギー表示に関する情報(消費者庁ホームページ)
  • 各都道府県や保健所を設置している都市(政令指定都市、中核市、保健所政令市)の食品衛生担当課