包括外部監査の結果(指摘事項)に対する措置事項及び監査の意見に対する対応結果の公表(令和3年7月28日公表)
広島市監査公表第18号
令和3年7月28日
広島市監査委員 政氏 昭夫
同 井戸 陽子
同 宮崎 誠克
同 森畠 秀治
地方自治法第252条の38第6項の規定により、広島市長から監査の結果に基づき措置を講じた旨の通知があったので、当該通知に係る事項を別紙のとおり公表する。
なお、併せて通知のあった監査の意見に対する対応結果についても、当該通知に係る事項を公表する。
(別紙)
平成31年度包括外部監査の結果に基づいて講じた措置等の公表(市民局)
1 監査結果及び監査意見公表年月日
令和2年2月6日(広島市監査公表第3号)
2 包括外部監査人
大濱 香織
3 監査結果に基づいて講じた措置及び監査意見に対する対応結果通知年月日
令和3年7月14日(広文振第229号)
4 監査のテーマ
広島市が出資している法人の「ヒト・モノ・カネ」に関する財務事務の執行について
5 監査の結果(指摘事項)及び措置の内容
(1)広島市郷土資料館(指定管理)(備品の現物管理について)(所管課:市民局文化スポーツ部文化振興課)
監査の結果
備品台帳から任意に11件を抽出し照合したところ、現物は存在するが使用しないまま長期間経過し、今後も使用の見込みがなく廃棄すべきものとして、パーソナルコンピュータ(価額117千円、取得日平成21年2月4日)、ビデオ装置(価額274千円、取得日平成11年10月8日)の2件が検出された。
また、照合対象の備品以外でも、廃棄処分する必要があるものが散見された。
備品台帳に長期間使用しておらず将来使用する見込みもなく廃棄処分するべき備品が掲載されていることは、備品台帳の管理機能を弱め、備品の紛失や盗難のリスクを高め、備品に関する経済性、効率性、有効性の判断を誤らせる要因になりかねない。
担当課及び郷土資料館は、広島市物品管理規則第30条の規定に従い、廃棄物品として不用決定を行い、備品台帳からの削除と現物の廃棄処理の手続を進めるべきである。
措置の内容
監査の結果を受けて、現物のうち、長期間経過し、今後も使用の見込みがないものについて、指定管理者に対し廃棄するよう指導した。
その結果、指摘のあったパーソナルコンピュータ、ビデオ装置の2件に加え冷蔵庫1点の備品の不用処理決定を行い、令和2年3月に備品台帳から削除するとともに廃棄処分を行った。
(2)広島市郷土資料館(指定管理)(外部に製作を委託した模型が備品に登録されていないことについて)(所管課:市民局文化スポーツ部文化振興課)
監査の結果
郷土資料館は企画展「夏休みおばけの博物館」(以下「本企画展」という。)を毎年開催しているが、平成30年度の本企画展の会場設営業務として、指定管理料から「委託費」として、745,200円を支出した。仕様書には、「展示物作成」として、妖怪「猫又」の模型(以下「妖怪猫又模型」という。)2体を作成する旨の記載があり、委託契約を締結した取引業者から提出された見積書には、契約金額745,200円のうち、妖怪猫又模型製作に係る見積額は172,800円と記載されていた。
この妖怪猫又模型は、その性質又は形状を変えることなく、長期間にわたって使用できるものであり、取得価額は1体当たり86,400円であり、指定管理料から製作されたものであるため、広島市の備品に該当し、備品の分類上は、「標本・模型・美術品」に区分されるものであるが、郷土資料館は備品登録に必要な手続を実施していない。
また、上記仕様書には、妖怪猫又模型以外に、郷土資料館が用意する妖怪模型20点を設置する旨が記載されているが、これらの20点も備品登録が行われておらず、過去10年程度毎年実施している本企画展に展示するために外部に製作を委託し、平成30年度と同様に委託費として費用処理し、備品の定義に該当するものの、備品登録手続を行わなかったものが含まれていると推定される。
広島市の備品台帳に本来掲載されるべき備品が掲載されていないということは、備品台帳の管理機能を弱め、紛失、盗難のリスクを高め、備品に関する経済性、効率性、有効性の判断を誤らせる要因になる。
担当課は、郷土資料館に対して広島市の備品の定義を正しく説明し、備品の登録漏れがないように指導し、備品の管理を適正に行う必要がある。
平成30年度以降に取得した模型等の所蔵品で広島市の備品に該当するものについては、早急に備品登録の手続を進める必要がある。
また、前の指定管理期間である平成29年度以前についても、担当課と郷土資料館は同様の取引を調査し、広島市の備品に該当するものについては、備品登録の手続を漏れなく実施する必要がある。
措置の内容
監査の結果を受けて、平成30年度以降に、製作を委託した模型等のうち、備品に該当するものについては、本市に対して備品登録の依頼を行うよう指定管理者に指導した。また、前の指定管理期間である平成29年度以前に委託業務で取得した模型等を確認し、備品に該当するものについては、本市に対して備品登録の依頼を行うよう指定管理者に指導した。
その結果、平成30年度以降に取得した模型等の所蔵品2点及び平成29年度以前に取得した模型等の所蔵品14点について、指定管理者からの備品登録の依頼を受けて令和2年7月に備品登録を行った。
(3)広島市郷土資料館(指定管理)(防火シャッターの危害防止装置の未設置について)(所管課:市民局文化スポーツ部文化振興課)
監査の結果
郷土資料館の常設展示室入口防火シャッターは、平成29年度及び平成30年度の建築設備定期点検において、危害防止装置の未設置が指摘されている。
基本協定によれば、施設の修繕については、1件につき原則として100万円未満のものについては、郷土資料館が指定管理料から実施することとなり、本件も郷土資料館が実施するべき修繕に該当する。
「平成29年度広島市包括外部監査結果報告書」には、担当課が所管し、広島市文化財団が指定管理を行っている公民館等の複数の施設の防火シャッターの危害防止装置の既存不適格に対する監査意見が記載されており、担当課及び郷土資料館の指定管理を行っている広島市文化財団は、危害防止装置を装着していない防火シャッターの具体的危険性を把握しているものと考えられる。
郷土資料館の施設の機能を適正に維持するとともに利用者の安全を確保するため、早急に防火シャッターの危害防止装置を設置するよう、担当課は郷土資料館に対して指導し、郷土資料館は危害防止装置の設置工事を早急に実施するべきである。
措置の内容
監査の結果を受けて、防火シャッターに危害防止装置を設置するよう指定管理者に指導を行い、その結果、令和2年2月に防火シャッター危害防止装置が設置された。
(4)広島市江波山気象館(指定管理)(備品管理を行う財務会計システムにおいて、望遠鏡1台が計上漏れされていたことについて)(所管課:市民局文化スポーツ部文化振興課)
監査の結果
江波山気象館には、屋上に5台の望遠鏡が設置されていた。
望遠鏡は、備品一覧表には、4台記載されている。江波山気象館の職員によると、26年前より1台多かったとのことであった。
担当課においては、備品登録の意味を再認識し、たとえ記載内容が購入先不明、取得日不明であっても、あると気が付いたときに購入先「不明」取得日「平成5年以前」など工夫して備品登録を行うべきである。
措置の内容
監査の実施を受けて、指定管理者に備品登録の状況確認を指示したところ、平成4年度に納入した望遠鏡の備品登録が漏れていたことから、令和2年1月に備品登録を行った。
(5)広島市江波山気象館(指定管理)(備品と設備の財務会計システムへの計上について)(所管課:市民局文化スポーツ部文化振興課)
監査の結果
平成30年度、修繕費の中に「オリエンテーションルームAVシステム修繕業務」918,432円があった。音響関係の器具の修理としては金額が大きいため確認したところ、備品とするべき物品が購入されていた。
これらの備品は整備時には設備であったため、その一個一個の購入ではなく修繕という形での処理になったとのことであった。
担当課においては、単体で使用可能で、形状を変えることなく使用できる物については、備品として管理するよう徹底すべきである。
措置の内容
監査の実施を受けて、修繕業務により物品の取替えを行い、備品として管理するべきものとなった場合は、速やかに本市に対して備品登録の依頼を行うよう指定管理者に指導した。
その結果、指摘のあった物品について、指定管理者からの備品登録の依頼を受けて令和2年1月に備品登録を行った。今後は、毎年度、指定管理者に備品管理を徹底するよう通知を行い、再発防止に努める。
(6)広島市交通科学館(指定管理)(外部に製作を委託した模型や自転車が備品に登録されていないことについて)(所管課:市民局文化スポーツ部文化振興課)
監査の結果
交通科学館における広島市の備品台帳には、絵画が1点、模型1点が掲載されているが、それ以外に所蔵品と思われるものが掲載されていない。
平成30年度に「委託費」として費用処理されているもののうち、備品の取得に該当し、広島市の備品台帳に登録する必要があるにもかかわらず、登録されていないものとして、車両(自転車)2台、取得価額合計373千円、模型8点、取得価額合計980千円を検出した。
広島市の備品台帳に本来掲載されるべき備品が掲載されていないということは、備品台帳の管理機能を弱め、紛失、盗難のリスクを高め、備品に関する経済性、効率性、有効性の判断を誤らせる要因になる。
担当課は、交通科学館に対して広島市の備品の定義を正しく説明し、備品台帳の登録漏れがないように指導し、備品の管理を適正に行う必要がある。
担当課及び交通科学館は、平成30年度以降に取得した模型等の所蔵品で広島市の備品に該当するものについては、早急に備品台帳への登録手続を進める必要がある。
平成29年度以前においても、平成30年度と同様に外部に製作を委託し、会計上は委託費として処理した模型等の取得に該当する取引が多数存在するものと推定される。利用者向け模型の検索システムによれば、平成29年度までに収集された模型は2,268点(航空機264点、船舶191点、鉄道576点、自動車1、237点)であり、それらの全てが備品台帳に登録されていないが、相当数は、本来は、模型として備品台帳に登録するべきものであると推定される。また、令和元年9月末現在、おもしろ自転車コーナーで稼働している自転車の総数は68台、バッテリーカートコーナーで稼働しているカートは11台であり、全てが備品登録されていないが、相当数は本来は、車両として備品台帳に登録するべきものであると推定される。
担当課は、前任の指定管理者の指定管理期間であった平成26年度から平成29年度において「委託費」として会計処理した取引のうち、模型、自転車、バッテリーカートの取得に該当する取引の洗出しを行い、「広島市物品管理規則」及び「物品管理事務の手引(平成31年4月会計室編集)」に照らして備品の定義に該当するものについては、備品台帳への登録手続を実施する必要がある。
措置の内容
監査の結果を受けて、平成30年度以降に、製作を委託した模型等のうち、備品に該当するものについては、本市に対して備品登録の依頼を行うよう指定管理者に指導した。また、前任の指定管理者の指定管理期間であった平成26年度から平成29年度までにおいて委託業務で取得した模型等を確認し、備品に該当するものについては、本市に対して備品登録の依頼を行うよう指定管理者に指導した。
その結果、指摘のあった車両(自転車)2台、模型8点に加え、平成30年度以降に取得した模型等の所蔵品9点及び平成26年度から平成29年度までに取得した模型等の所蔵品11点について、指定管理者からの備品登録の依頼を受けて令和2年3月に備品登録を行った。
6 監査の意見及び対応の内容
(1)広島市郷土資料館(指定管理)(収蔵室の整理整頓について)(所管課:市民局文化スポーツ部文化振興課)
監査の意見
郷土資料館の収蔵室は全般的に整理整頓されておらず、棚に収められていない所蔵品も散見され、雑然と置かれている状況であった。
所蔵品の劣化を防ぐためにも、郷土資料館は、早急に収蔵室を整理整頓し、所蔵品を適切に整理、保管するべきである。
対応の内容
監査の意見を受けて、収蔵室の整理整頓を指定管理者に指導した。
その結果、令和2年2月に本市が行った実地調査において、収蔵室内の整理整頓が完了したことを確認した。
なお、年に2回行う実地調査において、収蔵室内の整理整頓が保たれていることを確認している。
(2)広島市江波山気象館(指定管理)(備品の取得日について)(所管課:市民局文化スポーツ部文化振興課)
監査の意見
江波山気象館の指定管理者である広島市文化財団が、指定管理料で備品を購入した場合、その備品は広島市の所有となり、広島市文化財団が無償貸与を受けることになる。
担当課から、追加資料として提示された平成30年に購入された備品の取得日は、どれも「4300401」との記載がされていた。これは平成30年4月1日取得を意味する。
地方自治体は、減価償却の概念が無いため、取得日が違っていることについて内部的に問題が生じないのであろうか。その備品管理一覧表には、他にも、年度により同じ日付が取得日として登録されている備品も見受けられた。江波山気象館から提出された備品の登録に係る依頼文書に記載された取得日と異なる日付を入力することは、処理としては他に影響を及ぼさないが、提出されている資料と異なる内容を入力できるというその行為には問題がある。広島市では大きな問題がないと思われるこのことは、一般企業では重要視されている。この小さな行為を許すことは、いずれ内部統制に問題が生じてくるからである。
担当課によれば、これらの備品の納入日は平成30年3月9日から27日であり、それは正しく入力していたが取得日が平成30年4月1日になっていたとのことである。つまり、年度にもずれが生じていることになる。
担当課においては、内部統制の問題として捉え、周知徹底するべきである。
対応の内容
監査の意見を受けて、指定管理者による備品の登録依頼が遅れないように、令和2年7月に本市から指定管理者に対し、指定管理料で備品を購入した際は、速やかに本市に対し備品の登録依頼を行うよう通知を行った。
今後、本市としては、指定管理者から備品の登録依頼を受けたときは、速やかに実際の取得年月日で備品登録を行い、加えて、備品の登録漏れを防ぐため、四半期毎に備品の取得状況についての確認をして本市に必要な報告をするよう指定管理者に求めることとした。
(3)広島市交通科学館(指定管理)(所蔵品リストへの登録について)(所管課:市民局文化スポーツ部文化振興課)
監査の意見
交通科学館が平成31年2月27日に取得した自動車の模型2点(取得価額は合計31千円)、平成31年3月13日に取得した鉄道模型2点(取得価額は合計で676千円)は、展示されておらず、バックヤードに保管されている状態であり、「世界の乗り物」コーナーに展示する模型を管理するデータベースには登録されていなかった。
交通科学館の説明によれば、担当者が業務繁忙のため、納品日から半年以上が経過してもデータベースに登録していないとのことであった。
交通科学館はデータベース運用に関するルールを明確にし、データベースに登録すべき模型を取得した場合には、速やかに登録を行うよう努められたい。
対応の内容
監査の意見を受けて、未登録の模型について速やかにデータベースに登録するとともに、今後のデータベース運用に関するルールを検討するよう、指定管理者に指導した。
その結果、意見のあった自動車の模型2点、鉄道模型2点に加え、平成30年度に取得した自動車の模型5点について、令和2年5月にデータベースに登録した。また、今後は、取得した模型について速やかに登録の準備を進め、取得後6か月以内にデータベースに登録することとした。
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