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○広島市犯罪被害者等支援条例

令和4年3月18日

条例第6号

(目的)

第1条 この条例は、犯罪被害者等基本法(平成16年法律第161号)の趣旨にのっとり、犯罪被害者等の支援に関し、基本理念を定め、本市、市民等及び事業者の責務を明らかにするとともに、本市の施策の基本となる事項を定めることにより、犯罪被害者等に必要な施策を総合的に推進し、及び犯罪被害者等の心に寄り添いつつ、その権利利益の保護を図り、もって市民が安全で安心して暮らせる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 犯罪等 犯罪被害者等基本法第2条第1項に規定する犯罪等をいう。

(2) 犯罪被害者等 犯罪等により害を被った者(本市の区域内に住所又は居所を有する者に限る。)及びその家族又は遺族をいう。

(3) 再被害 犯罪被害者等がその被った害に係る犯罪等の加害者と同一の加害者又は当該加害者と密接な関係にある者から再び被る害をいう。

(4) 二次的被害 犯罪被害者等が、周囲の者の配慮に欠ける言動、風評、インターネットその他の通信手段を通じて行われる誹謗ひぼう中傷、報道機関(報道を業として行う個人を含む。)による過剰な取材及び報道等により被る精神的な苦痛、心身の不調、プライバシーの侵害、経済的な損失その他の害をいう。

(5) 市民等 本市の区域内に住所又は居所を有する者及び本市の区域内に存する事業所に勤務する者又は学校に在学する者並びに本市の区域内において活動(事業活動を除く。)を行う団体をいう。

(6) 事業者 本市の区域内において事業活動を行う者をいう。

(7) 関係機関等 国、広島県その他の本市以外の地方公共団体、犯罪被害者等の支援を行う公共的団体、本市の区域内において犯罪被害者等の支援を行う民間の団体(以下「民間支援団体」という。)その他の犯罪被害者等の支援に関係する機関又は団体をいう。

(基本理念)

第3条 本市における犯罪被害者等の支援は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。

(1) 犯罪被害者等の個人としての尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい処遇を保障される権利が尊重されることを旨として行われること。

(2) 被害の状況及び原因、再被害又は二次的被害の有無等の犯罪被害者等が置かれている状況その他の事情に応じて適切に行われること。

(3) 犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるよう、必要な支援が途切れることなく行われること。

(4) 本市、市民等、事業者及び関係機関等が相互に連携し、及び協力して推進されること。

(本市の責務)

第4条 本市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、関係機関等との適切な役割分担を踏まえ、犯罪被害者等の支援に関する施策を策定し、及び実施しなければならない。

(市民等の責務)

第5条 市民等は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況及び犯罪被害者等を地域で支えることの必要性についての理解を深め、二次的被害を生じさせ、又は犯罪被害者等を地域社会で孤立させることのないよう十分に配慮するとともに、本市が実施する犯罪被害者等の支援に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、二次的被害を生じさせることのないよう十分に配慮するとともに、本市が実施する犯罪被害者等の支援に関する施策に協力するよう努めなければならない。

2 事業者は、基本理念にのっとり、その雇用する者が犯罪被害者等になったときは、当該犯罪被害者等が、その受けた被害を早期に回復し、又は軽減し、並びに当該被害に係る刑事に関する手続に適切に関与し、及び行政手続その他の手続を適切に行うことができるよう、当該犯罪被害者等の勤務について十分に配慮するよう努めなければならない。

(相談及び情報の提供等)

第7条 本市は、犯罪被害者等が日常生活及び社会生活を円滑に営むことができるよう、犯罪被害者等が直面している様々な問題について相談に応じ、必要な情報の提供及び助言並びに関係機関等との連絡調整を行うものとする。

2 本市は、前項の相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を総合的に行うための窓口を設置するものとする。

(経済的負担の軽減)

第8条 本市は、次条から第11条までに定めるもののほか、犯罪被害者等が受けた被害による経済的な負担の軽減を図るため、犯罪被害者等に対し、見舞金の支給その他必要な支援を行うものとする。

(精神的な被害からの回復)

第9条 本市は、犯罪被害者等が犯罪等により受けた精神的な被害から回復することができるよう、犯罪被害者等に対し、必要な支援を行うものとする。

(日常生活の支援)

第10条 本市は、犯罪被害者等が日常生活を円滑に営むことができるよう、犯罪等により日常生活を営むことが困難となった犯罪被害者等に対し、日常の家事に係る支援その他の必要な支援を行うものとする。

(居住の安定)

第11条 本市は、犯罪等により従前の住居に居住することが困難となった犯罪被害者等の居住の安定を図るため、当該犯罪被害者等に対し、一時的な住居の提供等必要な支援を行うものとする。

(安全の確保)

第12条 本市は、犯罪被害者等が再被害及び二次的被害を受けることを防止し、その安全を確保するため、犯罪被害者等に係る個人情報の適切な取扱いの確保等必要な施策を講ずるものとする。

(雇用の安定)

第13条 本市は、犯罪被害者等の雇用の安定を図るため、事業者に対し、その雇用する者が犯罪被害者等になったときの勤務への配慮の必要性について理解を深める等必要な施策を講ずるものとする。

(市民等の理解の増進)

第14条 本市は、教育活動、広報活動等を通じ、犯罪被害者等が置かれている状況、犯罪被害者等を支援することの必要性、再被害及び二次的被害の発生を防止することの重要性等について市民等の理解を深めるよう、必要な施策を講ずるものとする。

(本市の区域内に住所及び居所を有しない者への支援)

第15条 本市は、本市の区域内に住所及び居所を有しない者が本市の区域内において犯罪等により害を被ったときは、当該者が住所を有する地方公共団体その他当該地方公共団体の区域内において犯罪等により害を被った者及びその家族又は遺族の支援を行う団体と連携し、及び協力しつつ、当該者に対し、必要な情報の提供及び助言を行うものとする。

(民間支援団体への支援)

第16条 本市は、民間支援団体の活動を促進するため、民間支援団体に対し、本市が実施する犯罪被害者等の支援に関する施策に係る情報の提供等必要な支援を行うものとする。

(関係部局の連携等)

第17条 本市が犯罪被害者等の支援を行うに当たっては、必要な支援が適切かつ円滑に行われるよう、当該支援に関係する部局が相互に連携し、及び必要な情報の共有を図るものとする。

(人材の育成)

第18条 本市は、犯罪被害者等の支援の充実を図るため、犯罪被害者等の支援を行う人材を育成するための研修の実施等必要な施策を講ずるものとする。

(意見等の反映)

第19条 本市は、犯罪被害者等の支援に関する施策を実施するに当たっては、犯罪被害者等、有識者等からの当該施策に関する意見、要望等を把握し、必要があると認められるときは、当該施策に反映させるものとする。

(支援を行わない場合)

第20条 本市は、犯罪被害者等の支援を行うことが社会通念上適切でないと認められるときは、犯罪被害者等の支援を行わないものとする。

この条例は、令和4年4月1日から施行する。

広島市犯罪被害者等支援条例

令和4年3月18日 条例第6号

(令和4年4月1日施行)