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○広島市中高層建築物の建築に係る紛争の予防及び調整に関する条例

平成9年9月30日

条例第59号

目次

第1章 総則(第1条~第6条)

第2章 計画の事前公開(第7条~第9条)

第3章 あっせん(第10条~第12条)

第4章 調停(第13条~第20条)

第5章 雑則(第21条~第23条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、中高層建築物の建築に係る紛争の予防及び調整に関し必要な事項を定めることにより、良好な近隣関係を保持するとともに、安全で快適な居住環境の保全及び形成に資することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 住居系地域 都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項第1号の第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域及び準住居地域をいう。

(2) 非住居系地域 都市計画法第8条第1項第1号の近隣商業地域、商業地域、準工業地域及び工業地域をいう。

(3) 中高層建築物 次に掲げる建築物をいう。

 住居系地域内にある建築物(その一部が住居系地域内にあるものを含む。)で、高さが10メートルを超えるもの

 非住居系地域内にある建築物(その一部が非住居系地域内にあるもの(に掲げるものを除く。)を含む。)で、高さが15メートルを超えるもの

(4) 近隣住民 中高層建築物の外壁又はこれに代わる柱の面からの水平距離が当該中高層建築物の高さに相当する距離以下の範囲内において、土地を所有する者又は建築物の全部若しくは一部を所有し、若しくは占有する者

(5) 周辺住民 次に掲げる者(近隣住民を除く。)をいう。

 中高層建築物の外壁又はこれに代わる柱の面からの水平距離が当該中高層建築物の高さの2倍に相当する距離以下の範囲内で、かつ、冬至日の真太陽時による午前9時から午後3時までの間に当該中高層建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面に当該中高層建築物による日影が生ずる範囲内において、土地を所有する者又は建築物の全部若しくは一部を所有し、若しくは占有する者

 中高層建築物の建築によりテレビジョン放送の電波の受信(以下「テレビ電波受信」という。)が著しく妨げられるおそれがあると認められる者

(6) 近隣関係住民 近隣住民又は周辺住民をいう。

(7) 紛争 中高層建築物の建築に伴って生ずる日照及び通風の阻害並びにテレビ電波受信の障害、当該建築の工事に係る騒音及び振動等近隣関係住民の居住環境に及ぼす影響に関し、当該中高層建築物の建築主及び工事施工者と近隣関係住民との間において生ずる紛争をいう。

2 前項に定めるもののほか、この条例における用語の意義は、建築基準法(昭和25年法律第201号。以下「法」という。)及び建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)の例による。

(適用除外)

第3条 次に掲げる場合については、この条例の規定は、適用しない。

(1) 法第85条に規定する仮設建築物に該当する中高層建築物を建築しようとする場合その他市長が公益上やむを得ないと認める場合

(2) 法第3条第1項に規定する建築物に該当する中高層建築物を建築しようとする場合

(3) 前条第1項第3号アに掲げる建築物の増築又は改築をしようとする場合であって、当該増築又は改築に係る部分の建築物の高さが10メートル以下であるとき。

(4) 前条第1項第3号イに掲げる建築物の増築又は改築をしようとする場合であって、当該増築又は改築に係る部分の建築物の高さが15メートル以下であるとき。

2 国又は地方公共団体が中高層建築物を建築しようとする場合は、次章(第7条を除く。)から第5章までの規定は、適用しない。

(市長の責務)

第4条 市長は、中高層建築物の建築に際し、安全で快適な居住環境の保全及び形成が図られるよう努めるとともに、紛争が生じたときは、迅速かつ適切な調整に努めなければならない。

(建築主等の責務)

第5条 中高層建築物の建築主、設計者及び工事施工者(以下「建築主等」という。)は、中高層建築物の建築に係る計画(以下「建築計画」という。)の策定及び当該建築の工事の実施に当たり、近隣の居住環境に与える影響に十分配慮し、安全で快適な居住環境の保全及び形成に努めるとともに、良好な近隣関係を保持するよう努めなければならない。

2 建築主及び工事施工者は、中高層建築物の建築及び当該建築の工事によりテレビ電波受信の障害が生じた場合にあっては、共同受信施設の設置その他テレビ電波受信の障害の解消に必要な措置を講じなければならない。

(自主的な解決)

第6条 中高層建築物の建築主及び工事施工者並びに近隣関係住民は、紛争が生じたときは、相互の立場を尊重し、互譲の精神をもって、自主的に解決するよう努めなければならない。

第2章 計画の事前公開

(標識の設置)

第7条 建築主は、中高層建築物を建築しようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、建築計画の概要を表示した標識を設置しなければならない。

2 建築主は、前項の規定により標識を設置したときは、規則で定めるところにより、その旨を市長に届け出なければならない。

3 前項の規定による届出は、次に掲げる日のいずれか早い日から起算して30日前までに、これを行わなければならない。

(1) 法第6条第1項の規定による確認の申請又は法第18条第2項の規定による計画の通知をしようとする日

(2) 法又はこれに基づく条例の規定による許可又は認定の申請のうち規則で定めるものをしようとする日

(建築計画の説明)

第8条 建築主等は、近隣住民に対して、規則で定めるところにより、建築計画について、規則で定める事項を説明しなければならない。

2 近隣住民は、建築主等から前項の規定による説明の申出があった場合は、当該申出に応ずるよう努めなければならない。

3 建築主等は、建築計画について、周辺住民から説明を求められたときは、第1項の規則で定める事項を説明しなければならない。

4 建築主等は、建築計画について、近隣関係住民から説明会の開催を求められたときは、これを開催しなければならない。

(報告等)

第9条 建築主は、規則で定めるところにより、前条第1項の規定によりした説明の状況その他規則で定める事項を市長に報告しなければならない。

2 市長は、建築主に対して、前条第3項の規定によりした説明の状況又は同条第4項の規定により開催した説明会の状況について、報告を求めることができる。

3 第1項の規定による報告は、第7条第2項の規定による届出をした日から起算して10日を経過した日以降で、かつ、同条第3項各号に掲げる日のいずれか早い日から起算して20日前までに提出しなければならない。

4 市長は、第1項又は第2項の規定による報告に係る説明が前条の規定に従い行われていないと認めるときは、同条の規定に従い説明し、かつ、その結果を報告するよう求めることができる。

第3章 あっせん

(あっせん)

第10条 市長は、中高層建築物の建築主及び工事施工者と近隣関係住民(以下「紛争当事者」という。)第6条に基づく自主的な解決の努力を行っても紛争の解決に至らなかった場合において、双方から紛争の調整の申出があったときは、この条例の目的に沿うようあっせんを行う。

2 市長は、紛争当事者の一方から紛争の調整の申出があった場合において、相当の理由があると認めるときは、あっせんを行うことができる。

3 前2項の申出は、当該紛争に係る中高層建築物の建築の工事の着手前に行わなければならない。

4 市長は、あっせんのため必要があると認めるときは、紛争当事者に対して、出席を求めてその意見若しくは説明を聴き、又は資料の提出を求めることができる。

(あっせんの打切り)

第11条 市長は、前条第1項又は第2項の申出に係る紛争について、あっせんによっては紛争の解決の見込みがないと認めるときは、あっせんを打ち切ることができる。

(あっせんの非公開)

第12条 あっせんの手続は、公開しない。

第4章 調停

(調停の申出)

第13条 市長は、あっせんにより紛争の解決に至らなく、紛争当事者双方から調停の申出があった場合において、必要があると認めるときは、広島市建築紛争調停委員会に調停を付託することができる。

2 市長は、紛争当事者の一方から調停の申出があった場合において、相当な理由があると認めるときは、他の紛争当事者に対して、調停に付することに合意するよう勧告することができる。

3 第10条第3項の規定は、前2項の調停の申出について準用する。

(調停前の措置)

第14条 市長は、調停のため必要があると認めるときは、その理由を付して、建築主に対して、相当の期限を定めて工事の着手の延期を要請することができる。

(調停の手続)

第15条 広島市建築紛争調停委員会に付託された調停は、調停小委員会により、この条例の目的に沿うようこれを行う。

(調停案の受諾の勧告)

第16条 調停小委員会は、必要に応じ、調停案を作成し、紛争当事者に対して、期限を定めてその受諾を勧告することができる。

(調停の打切り)

第17条 調停小委員会は、調停に係る紛争について紛争当事者間に合意が成立する見込みがないと認めるときは、調停を打ち切ることができる。

2 前条の規定による勧告が行われた場合において、指定された期限までに紛争当事者の双方から受諾する旨の申出がなかったときは、当該紛争当事者間の調停は、打ち切られたものとみなす。

(調停の非公開)

第18条 調停の手続は、公開しない。

(調停終了の報告)

第19条 調停小委員会は、調停が終了したときは、その結果を広島市建築紛争調停委員会及び市長に報告するものとする。

(調停委員会)

第20条 市長の付託に応じ調停を行うとともに市長の諮問に応じ紛争の予防及び調整に関する重要事項について調査審議するため、広島市建築紛争調停委員会(以下「調停委員会」という。)を置く。

2 調停委員会は、委員10人以内をもって組織する。

3 委員は、法律、建築又は環境の分野について学識経験のある者その他市長が適当と認める者のうちから、市長が委嘱する。

4 委員の任期は、3年とし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。

5 調停委員会に付託された調停を行うため、調停委員会に3人以上の委員で構成する調停小委員会を置く。

6 調停小委員会は、調停に当たり必要があると認めるときは、紛争当事者に対して、出席を求めてその意見若しくは説明を聴き、又は資料の提出を求めることができる。

7 調停について調停小委員会の行った調停案の作成、勧告その他の行為は、調停委員会の行ったものとみなす。

8 前各項に定めるもののほか、調停委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第5章 雑則

(措置命令)

第21条 市長は、第7条第1項の規定による標識の設置をしない者に対して、期限を付して標識を設置するよう命ずることができる。

2 市長は、第9条第1項の規定による報告をしない者又は同条第2項の規定により求めた報告をしない者に対して、期限を付して報告するよう命ずることができる。

(公表)

第22条 市長は、第9条第4項の規定により報告を求めた場合において、報告を求められた者が正当な理由がなくこれに従わないときは、その旨を公表することができる。

2 市長は、前条の規定による命令をした場合において、その命令を受けた者が正当な理由がなくこれに従わないときは、その旨を公表することができる。

3 市長は、正当な理由がなく第9条第1項の規定による報告をしないで第7条第3項各号に規定する申請又は通知をした者について、その旨を公表することができる。

4 市長は、前3項の規定により公表しようとするときは、あらかじめ、公表の対象となる者に意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、緊急の必要のため、あらかじめ意見を述べる機会を与えることができないときは、この限りでない。

(委任)

第23条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

1 この条例は、平成10年3月1日から施行する。ただし、第3章及び第4章の規定は、同年4月1日から施行する。

2 第2章の規定は、平成10年4月1日以後にする第7条第3項各号に規定する申請又は通知に係る中高層建築物の建築について適用する。

広島市中高層建築物の建築に係る紛争の予防及び調整に関する条例

平成9年9月30日 条例第59号

(平成10年4月1日施行)