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原爆ドーム保存のための募金活動

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昭和41年(1966年)7月11日、広島市議会はドーム保存を要望する決議を行い、11月1日に募金活動を開始しました。目標の4000万円を達成し、翌年3月14日に打ち切り、7月31日までには、国の内外から6,619万7,816円の寄附金等の浄財、募金運動の参加者130万人以上という大きな善意が寄せられました。

募金趣意書

 あの戦慄すべき日から、すでに21年の歳月は過ぎ去りました。
 しかし、あの日、あの朝の広島の惨状は、ついにわたくしたちの脳裡から消え去ることはないでしょう。それは人間の想像をはるかに超えた悲痛きわまりないものでありました。一瞬にして全市は焦土と化し、老若男女の区別なく20数万の生命は無惨に奪い去られたのであります。まさに、地獄以上の地獄を私たちは経験してしまったのであります。
 この言語に絶する悲惨は、将来の戦争が如何なるものであるかを示唆し、戦争による人類絶滅の危機を警告すると同時に、戦争のために傾注せられる人類の努力と創意を転じて社会開発のために活用するならば、世界平和の建設は決して不可能ではないことを確信させるにいたりました。その教訓を生かすことこそ、地下に眠る犠牲者の犠牲を永遠に意義あらしめる唯一の道であり、世界人類に対する最大の貢献でなければなりません。
 あの日以来、かろうじて生き残った者たちを先頭に、幾多の苦難を越えて広島の復興は進められ、広島は今や平和を象徴する都市として回生し得たのであります。
 しかし、そのことによって、原爆の跡はほとんど取り除かれ、現在残されているのは、いわゆる「原爆ドーム」のみとなりました。
 「原爆ドーム」の原体は、大正4年、広島県産業奨励館として建設されたものでありますが、爆心点のほとんど直下に存在したがために、爆圧を垂直に受けることによって倒壊をまぬがれ、ガラン洞の残骸をさらすことによって、ようやく残存し得たのであります。
 その事実からして、この原爆ドームこそは、広島の惨害を記憶し、それを語る基点としてはまことにふさわしい記念物であります。もちろん、わたくしたちは原爆ドームが、人類史上類例もない大惨禍を実証するには余りにも小さすぎることを知っております。さらにまた、それが唯一の遺跡であるだけに市民の悲痛な記憶をえぐる誘因ともなっていることも知っております。
 しかし、わたくしたちは、そうした個々人の感情を離れてこれは残しておくべきではないかと思うのであります。
 忘れてはならないことは、わたくしたちは常に未来へ向かって生きなければならないことであります。過去の忌まわしい経験を忘れ去ることも、また一つ生き方ではありましょうが、過去の忌まわしい経験はそれを再び繰り返さない方向において生かし、新しい未来を求めることであります。広島原爆の遺跡は、ただ広島の惨害の記念物であるばかりでなく、人類が破滅と繁栄の岐路に立つ原子力時代の「警告」であり、人類がその過ちを二度とくり返してはならない「戒律」であります。その意味において、わたくしたちは、これを未来への道標としたいと思うのであります。これを残すことは、ひとり、広島の子孫に対するわたくしたちの責務であるばかりでなく、世界の良心が同胞に対してになう当然の使命であると存じます。言うならば、わたくしたちは、これを恨みの遺物、敵意の形見として保存するのではなく、人類懴悔の象徴として、平和祈願のために保存しようとするものであります。
 原爆ドームは、平和記念公園と密接な関係があり、平和記念公園の中心点には原爆慰霊碑が安置されており、原爆資料館、平和の灯、平和祈願の鐘堂と共にその慰霊碑をつつむ公園の重要なポイントの一つとなっております。
 しかし、その原爆ドームも被爆度21年を経た今日では、これに保存の手を加えない限り崩壊のおそれなしといえない状態にあります。したがって、わたくしたちは、いまのうちに、速かに、補修工事を施して原形を維持すると共にその環境を整備して万全の保存措置を講じたいと存じます。
 ただ、わたくしたちは、これを保存するには、ひとりでも多くの人の協力を得たいと思うのであります。その意味において国内はもとより国際的にも平和を願う人々の協力を願ってやまないのであります。
 以上、原爆ドーム保存の趣旨を申しのべましてご協力をお願いする次第であります。

昭和41年11月1日

広島市長 浜井 信三

 

 第2回保存工事の実施にあたっても募金運動が行われ、3億9,502万5,026円の寄附金が寄せられました。寄附金の余剰金は「原爆ドーム保存事業基金」に積み立てられ、第3回の保存工事に使われたほか、保存調査の経費としても使われています。

 

このページに関するお問い合わせ先

市民局 国際平和推進部 平和推進課 被爆体験継承担当
電話:082-242-7831 /  FAX:082-242-7452
メールアドレス:peace@city.hiroshima.lg.jp