平成23年(2011年)第3回広島市議会定例会の開会に当たり、議員各位に敬意を表します。
私は、去る4月10日に行われた市長選挙において、これまでの市政を変革するということを訴え、市民の皆様の御支援により、広島の新時代に向けて市政を担当させていただくことになりました。
最初に、改めて、東日本大震災で亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りするとともに、被災された皆様にお見舞いを申し上げます。
本市においては、地震発生翌日の3月12日から今日まで、消防や水道をはじめ、保健、医療、福祉や下水道、建築、一般行政事務等の分野において、救援・支援のための職員を派遣するとともに、義援金の支出や支援物資の搬送、被災者の受入れなど様々な救援・支援活動を行っています。
一日も早い被災地の復旧・復興と被災者の皆様の生活再建を祈念するとともに、今後も引き続き必要な救援・支援活動に取り組みたいと考えています。
それでは、今定例会における諸議案の説明に先立ち、私の市政推進に当たっての基本的な考え方や主要な施策について所信を申し述べ、議員各位並びに市民の皆様の一層の御支援と御協力をお願い申し上げます。
まず始めに、市政推進に当たっての基本的な考え方を申し上げます。
私は、市政推進に当たり、自分の使命は、何よりも広島を世界に誇れる「まち」にすることであると考えています。
そのために私は、広く市民と対話し、明確にビジョンを立て、そして果敢に実行する、この「対話・ビジョン・実行」によって、市政に活力を生み出したいと考えています。
私の申し上げる「対話」とは、決して、単に会話を重ねるといった類のものではありません。相手方との間でよき協調とよき連携の関係を創り出す営みの中で、双方の知恵と力を結集し、広島の「秘めたる力」を引き出します。この秘めたる力を引き出す一連の対応や行動が私の言う対話であり、その対話を、私は率先してやります。
市民との心が通う対話を通じて、子どもに未来を託す心を、また、高齢者へのいたわりの心を、そして、若者に対する元気づけの心を引き出します。
議会との対話においては、透明性を確保し、緊張関係を維持しながら、よりよい両輪関係を創っていきます。
職員との対話においては、主従の関係ではなく、議論して高め合う切磋琢磨の関係を創り上げていきます。
経済界との対話においては、まさに都市の活性化を導くため、良好なパートナーシップを創り出します。
近隣の市や町との対話においては、母都市と衛星都市といった覇権的な関係ではなく、共生共存的な関係づくりの下に、地域の創造力を引き出します。
県との対話においては、中枢都市広島が広島県全体の発展に貢献するために、より充実した連携関係を創り出します。
次に、私の申し上げる「ビジョン」とは、夢であると同時に展望であり、それは実現するためのものでなくてはなりません。したがって、広島を世界に誇れる「まち」にするという夢を持つということは、それを実現するために、何より広島の平和都市像をどのようなものにするか、そして、何を誇れるものにするかということについてしっかりとした考え方を持つことであります。
具体的に申し上げます。世界で最初に被爆し、廃墟から立ち直った広島は、世界のどこよりも、平和の心が育ち、街に平和が香る「国際平和のまち」でなければなりません。その国際平和のまちが、世界の人々を引き寄せ、核兵器のない恒久平和の実現に向けた取組を促すことになります。
また、国際平和のまちには、そこに暮らす人々のなりわいそのものが、平和でなければなりません。私に言わせれば、まさにそこで生活する市民の仕事と生活が調和する姿であります。安定した仕事があり、働きがいがある、介護や医療に悩むことなく、また安心して子育てができる、家族でくつろぐことができる、元気にスポーツができる、優れた文化芸術を鑑賞できる、こういった市民生活ができるまちが国際平和のまちにふさわしいと思います。私は、この仕事と生活の調和する市民生活像を表すキャッチフレーズとして、「ワーク・ライフ・バランス」を掲げたいと考えています。
こうした国際平和のまちを現実のものにし、将来にわたって持続していくためには、都市の活力が不可欠であります。中枢都市である広島は、自治体としての基礎を備え、近隣の市や町や県との連携の下に、地域力を発揮し、市域のみならず、広島県全体の活力を生む存在とならなければなりません。
とりわけ都心部においては、経済・文化の推進力を担う都心づくりをしていくことが重要であります。そこで、広島駅周辺と旧広島市民球場跡地周辺を東西の「核」と位置づけ、活力とにぎわいのエンジンを二つ持つ強靭な「楕円形の都心づくり」という新しい発想が必要であると考えています。さらに、楕円形の都心において経済・文化の推進力を全開するには、東西の核をつなぐ還流型交通サービスを充実強化する必要があります。
一方、都市の内外を結ぶ陸海空の交通体系は、活力とにぎわいを呼ぶ重要なインフラであり、物流や旅客輸送において、時間とコストの競争力を持つ高速性と定時性に優れたネットワークを備えなければなりません。
次に、私の申し上げる「実行」とは、ビジョンを大切にしながらも、今置かれた状況に真剣に向き合うことです。厳しい行財政状況の中で、今何をやらなければならないか、今何ができるかを、強い意志によって見定めなければなりません。それを行うことが私の言う実行であります。財政規模を考えながら、やらなければならないこと、できることの選択と集中により確実に政策の実現を図ること、これも実行の意味です。
そのために、まずもって行財政改革を着実に進めます。そして、その一環としての事務事業の抜本的な見直しにも取り組みます。
ただし、私の言う行財政改革とは、行財政への切り込みだけではありません。市域における官民の全ての分野で持続的な健全経営を展望し、それに向かって、街ににぎわいを、生活に活気を吹き込む、それが税増収につながる、私は、そういう積極的な意味を持つものとして、行財政改革を捉えています。すなわち、多角的な経済・雇用施策を動員し、「働きがいのある雇用」につながる諸施策を実行することであります。
さらに、広島市と周辺地域の一体的な創造力を高める中で、経済・雇用施策の企画力、推進力をより高めていくことも大切です。そのため私は、広島市と近隣の市や町との間で「まち起こし協議会」という新たな連携を組む姿を描いています。
以上のような基本的な考え方の下、今後、私が推進したいと考えている主要な施策の概要について、三つの柱に分けて説明いたします。
その一つは、「活力にあふれにぎわいのあるまち」への取組です。
市民の生活を支えているのは、多くの中小企業です。景気の低迷と厳しい雇用情勢が続く中、活力にあふれる産業を育成するため、中小企業に対する支援に取り組みます。公共事業入札制度は、そういう観点から見直します。また、世界に誇れる技術を持つ地場産業の活性化の後押し、医療、福祉ビジネスや環境に関連した技術の掘り起こし等によるエコ・ビジネスの振興、都市型サービス産業等の集積促進により、経済の振興と雇用の拡大を図ります。さらに、農林水産業の振興や、市民に身近な買い物の場である商店街の活性化に取り組みます。加えて、土地の高度利用の促進等による商工センター地区の活性化、西風新都を中心とした企業誘致の取組強化を図ります。
観光とは、人々が訪れた地での風物を見るだけでなく、地元の人々と接し、地元のなりわいや文化を実体験することでもあります。そして、地域の様々な産業に活力をもたらし、まち全体ににぎわいを創出するものでもあります。
ヒロシマの知名度や世界遺産をテコとしつつ、「もてなし」ができるよう、観光ビジネスを促進するとともに、広島を訪れた人が「また来てみたい」、「住んでみたい」と感じるような、まち全体としての「観光起こし」を推進します。
「水の都ひろしま」づくりや平成25年(2013年)春の全国菓子大博覧会開催も、この観光起こしの一環として推進します。
こうした活力にあふれにぎわいのあるまちには、その力の源となるべき都市基盤が必要であり、不断にその充実を図っていくことが不可欠です。このような観点に立って、楕円形の都心づくりのビジョンの下に、広島駅周辺地区の再開発を推進するとともに、旧広島市民球場跡地の利用計画を見直し、事業化を図ります。広島西飛行場の跡地については、本市が活用方策を検討し、広島県の協力を得て地域の活性化に取り組みます。
また、交通体系のビジョンの下に、広島県と一体となって長期・中期・短期の方策を検討し、広島空港へのアクセス向上を図ります。その具体的な取組の一つとして、広島高速3号線、広島高速5号線、東広島バイパス、安芸バイパスの整備促進等に取り組みます。加えて、JR、路面電車、バスなど公共交通機関の機能強化を図ります。
二つ目は、「ワーク・ライフ・バランスのまち」への取組です。
ワーク・ライフ・バランスは、21世紀のまちづくりの国際標準であると言っても差し支えないものであり、これを目指して、市民の仕事と生活に係る諸施策の推進に力を注ぎます。
まず、雇用の促進に向け、国や広島県と連携し、正規雇用の拡大や若者の職業的自立を支援するための取組を推進するとともに、勤労者の就業環境の向上を図ります。また、私立保育園の新増設や幼保一元化等の取組を通じて待機児童ゼロを目指すとともに、女性の仕事と子育ての両立支援に取り組みます。さらに、男女共同参画社会形成に向けた取組を推進します。なお、これまで進めてきた子ども条例制定に向けた取組については、これを中止します。
医療の充実については、市立病院の機能強化や予防対策に重点を置いた取組等を進めるとともに、がん医療の拠点となる広島県による「高精度放射線治療センター(仮称)」整備の促進を図ります。また、高齢化が進む被爆者の援護施策の充実に取り組みます。
さらに、自助・共助の精神を踏まえつつ、地域における高齢者の支援体制の充実と障害者のノーマライゼーションの促進等を図るとともに、高齢化が進む郊外団地での公共交通の確保に取り組みます。
次に、教育の充実については、大人が子どもに範を示すことができるよう、家庭・学校・地域社会がそれぞれの役割に応じた取組を進めるとともに、小・中学生の基礎学力や体力の向上、学校運営体制の充実や学校施設整備の推進等に取り組みます。
スポーツの振興については、市民のスポーツ活動の活性化と競技力の向上を図るとともに、トップス広島との連携強化、日本古来の武道の振興等に取り組み、新しい「スポーツ王国広島」の創造を目指します。また、スポーツを通じた青少年の健全育成を図ります。
文化芸術の振興については、市民の文化芸術活動の活性化を図るとともに、四季折々の風物を満喫できる公園施設等の拡充や広島交響楽団等による花と音楽のイベント開催等に取り組みます。
また、広島大学本部跡地については、「知の拠点」として必要な諸機能の集結を促進し、土地の有効活用を図ります。
地域の活力増進に向けて、中山間地域や郊外では、それぞれの地域資源や特性を生かした地域起こしを、商工業が集積する地域では、基盤の充実等による地域の生産性の向上等を図るとともに、犯罪や事故の起こりにくいまちづくりの推進等により、安全で安心な地域社会の形成を進めます。
また、環境施策に関しては、事業活動や家庭生活における温室効果ガス排出量削減に向けた取組を促進するとともに、ごみの減量とリサイクル、ごみの適正処理などゼロエミッションシティ広島の推進を図ります。
さらに、東日本大震災を踏まえ、地域防災計画の見直しを行うとともに、学校施設等の耐震化を推進します。
三つ目は、「平和への思いを共有するまち」への取組です。
平和都市としての取組については、先人の築いた成果をしっかりと受け継ぎ、ヒロシマの願いである核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向け積極的に取り組みます。核兵器廃絶の取組に当たっては、これまで以上に市民やNGO等との連携を強化し、国内外から多くの人々に広島に来てもらい、平和への思いを共有してもらうようにしたいと考えています。また、訪れた人々に平和への思いを共有してもらうために、被爆者による証言活動に対する支援や被爆資料の収集・活用、平和記念施設の保存・整備等の取組を推進します。なお、国内外から寄せられる折り鶴については、市民からのアイデア等を基に、折り鶴に託された思いを昇華させるための具体的な方策を取りまとめたいと考えています。
以上申し上げたような取組については、今本市が置かれている厳しい行財政状況と真剣に向き合うことなく「実行」することはできません。このため、市長の退職手当の削減や職員の定数・給与への切り込みなどを図っていきたいと考えています。なお、議員の定数や報酬については、本市における全体的な取組として如何にあるべきかという観点に立って、議会において適切な判断をしていただきますようお願い申し上げます。
以上、今後4年間の市政を推進するに当たり、所信の一端を申し上げました。「率先・協調・連携」をモットーとする私としては、市政のあらゆる分野において、市民の目線での課題の把握を率先して行い、また、課題解決に向け、関係者がそれぞれの役割分担の下で協調・連携することにより、ハード・ソフトの両面にわたる各種施策を着実かつ確実に進めていきます。そのことにより、市長の任を果たす決意です。
議員各位並びに市民の皆様の一層の御支援と御協力を切にお願い申し上げます。
各課お問い合せ先
各課直通電話・FAX・Eメールアドレス
![]()
Copyright c HIROSHIMA City. All rights reserved.